紅き天
「どうしたの、具合悪い?」



静乃が揺さぶると、もぞもぞと起き出してきた。



ボーっとした表情で体を起こした疾風の目元にはクマが出来ていた。



「疾風?」



健康、やんちゃとみんなに認識されているだけに、事は重大だ、と静乃は思った。



「どうしたの?」



起き上がってもまだこっくり、こっくりと首を危なっかしく揺らしている疾風を支え、静乃は優しく揺さぶった。



「疾風?」


「ん…。」


「わっ!」



寝ぼけている疾風にもたれられ、静乃はバランスを崩して尻餅をついた。



「もうっ!」



静乃はパチンと疾風の頬を張った。



「起きてよッ!」



ようやく目を開けた疾風はわっ、と驚いて静乃から離れた。





< 63 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop