紅き天
誤解
疾風はすぐさま静乃の家に向かった。
全速力で通りを突っ切り、裏口に回る。
息を整えながら裏戸を開け、呼びかける。
「すいません、上がります!」
一方的に上がりこんでしまったが、今はそんなこと知ったこっちゃない。
「あ。」
階段を上がっていくと、心配そうな顔をした基子と鉢合わせた。
「どうかしたのか?」
静乃のことか、疾風のことか。
疾風は静乃だとくみ取り、答えた。
「ちょっと誤解があって。
話させて。」
「なんとかしてやってくれ。」
泣きそうな顔でせがまれ、疾風は唇を噛んだ。
多分、その原因は俺だ。