紅き天
音もなく屋根裏を這い、火を消しにかかる。



フッ、フッ、フッと、次々に灯りが消えていく。



「なっ、なんだ!?」


「誰かが忍び込んだぞ!
薬を隠せ!」



“無駄。”



また疾風は笑った。



俺の目は暗闇に慣れてる。



そんなちゃっちな構えでとめられると思うな。



疾風はサッと飛び降り、1人の口をふさいで掻ききった。



男は呻き、事切れた。



次々と、襲い掛かる黒い影。



まるで、疾風の如くに。



殺し屋市松跡取りに相応しいナマエ。



皮肉なもんだ。



ものの数分で任務を終えた疾風は、立ち尽くしてあざ笑った。



自分自身を。










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