紅き天
次の夜も、次の夜も。



疾風は大人数を狙って受けた。



気晴らしには、これしかない。



感情を抑えきれない時、主に静乃と喧嘩したときは必要以上に仕事を増やした。



まったく、やりにくいったら…。



仕事内容を書いた紙を疾風に手渡しながら、宗治はため息をついた。



また、静乃と喧嘩でもしたか。



宗治は毎度のことながら、呆れた。



ったく、殺しでしか鬱憤を晴らせないってぇのは…。



可哀想な男だなぁ。



宗治は無表情に紙に目を通している疾風から目を逸らした。



静乃もそろそろ謝りにきてもいい頃だろうに。



いつも決まって謝りに来るのは静乃だ。



慰めて、逆上するのは疾風。




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