紅き天
「お前達、何があった。」


「別に?」



疾風が答えた直後、疾風は床に押し倒されていた。



「お前らなぁ。
いい加減にしとけよ。」


「何がだよ。」



本気で機嫌が悪い疾風は宗治に歯向かった。



「わかってねぇのかよ。
アホらしい喧嘩を仕事にまで持ち込むなって言ってんだよ。
餓鬼が。」


「っせえな、俺は悪かねぇんだよ。
文句なら静乃に言って来い。」



ダメだ、こりゃ。



静乃のとこに行ってくるか。



ったく、世話が焼ける。



と言っても、こんなに長引いた喧嘩は初めてだ。



「俺、静乃のとこ行ってくるわ。
疾風、店番しとけよ。」




…のちに、目付きの死ぬほど悪い疾風の接客した客から、「お宅の息子さん、双子でしたっけ?」と膨大な質問が押し寄せることとなる。





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