紅き天
そして、バレた。



冷静に、別れを交わした。



なぜか、すっきりと受け止められた。



今になって思えば、感心する。






宗治は深呼吸し、のれんをくぐった。



「よお。」



声をかけると、伝蔵が厳しい顔でやってきた。



「何しに来た。」


「静乃に会わせろや。」


「…娘に何のようだ。」



静乃のことになると顔が変わる。



…闇の生き物の顔だ。



「いや、疾風といざこざがあったらしくてな。
なかなか静乃が謝りに来んから、心配で。」


「なんで静乃が謝らにゃならん。」



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