紅き天
その夜遅く。
静乃は基子に指定された河川敷に立って待っていた。
ここを、代官が通るという。
まったく、代官っていうのは悪名代官ばっかりなんだろうか。
静乃は音を立てずにため息をついた。
国のお偉いさんを殺ることになるなんて…。
こないだの質屋といい、代官といい、金持ちにはろくな男がいない。
静乃はフンと鼻を鳴らした。
来た。
護衛もつけず、女と連れ立って歩いている。
静乃としては、無防備なのが気に食わなかった。
気晴らしに仕事を受けたのだから。