平凡な恋の話 No.2
あの思い出が頭を大きく横切る
もうダメ・・・
『・・・7年前・・・
大好きなおばあちゃんが
病気で入院しちゃって
その時私は6歳で
幼いから何も分からなくって
いつも病院に行っては
おばあちゃんに無理矢理
歌を歌ってもらってたの・・・
私も一緒に歌ってた・・・
おばあちゃんの病気っていうのが
喉のところに変なモノができる
あんまり有名じゃない病気だった
手術をするまで声をだしたら
絶対にいけないはずだったのに
私のせいでだすようにしちゃって
そして・・・そ・・・して』
私は首元にあった先輩の腕を
両手でギュッとつかんでいた
もう涙を止める気にもならなかった
『・・・おばあちゃんはね
手術の前日・・・
58歳の誕生日の日に
この世を去った・・・
手術は100%成功するって
言われてて、手術を受けてたら
もっと・・・もっと長生き
するはずだったのに・・・
手術の前の日に死んじゃった
私がねっ、おばあちゃんを
殺したのよ・・・!
大好きだった歌のせいで・・・』
涙も止まり私が我に返った時には
私は‘過去’を全て
海我先輩に話していた・・・
先輩は何も言わずに
ただ・・・
私をギュッと優しく抱きしめて
最後まで話を聞いてくれた・・・