平凡な恋の話 No.2

 話が終わり

 海我先輩が最初に言った言葉は

 『・・・お前は

  その亡くなったばあさんの分まで

  歌わなければならないと思うぜ』

 先輩は私を棚の上に座らせてくれた

 海我先輩は優しくしてくれる・・・

 うれしかったっ!

 だけど・・・

 なんだか心がキュゥ~と 

 締め付けられるの・・・

 今までしていたドキドキよりも

 自分を見失いそうなこの感覚・・・

 『私は歌うのが怖い・・・の』

 知らないうちにそんなことを

 口にしていた

 『なんで怖いんだ?』

 先輩は引く素振りさえ見せないで
 
 まっすぐ私の目をみて聞き返した

 『ま・・・また

  私のせいで死んじゃう人が

  出るかもしれないから』 

 私はトランペットを足の上に置いて

 もう一言付け加えた・・・

 『私の歌・・・

  私の声は呪われてい・・・』

 『呪われてなんかネェよっ!』

 力強く両肩を握られる・・・

 『い、いたいっ・・・!』

 私は苦痛の表情を浮かべながら

 海我先輩の顔をみる・・・

 『呪われてなんか・・・

  ないから・・・な?』

 ・・・私より辛そうな顔してる

 『海我せんぱ・・・』

 『大丈夫だ・・・っ!

  お前の歌は人を不幸になんか

  絶対にしないっ!

  むしろ逆だな・・・

  お前の歌は人を幸せにするんだ!

  最初にもう言わネェって言ったが

  やっぱり言いたくなるぜ・・・』

 『・・・先輩?』

 海我先輩は私の肩を優しく握り

 深く深呼吸をすると・・・



 
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