首筋、君の手が触れた。
これは、なんか、あったな。
笹島は鋭かった。
それで、茜に切り込みを入れたのだった。
予想通りのうろたえぶり。
ただ、これ以上突っ込むと、
警戒されちゃいそうなんで、
やめておく。
ただ、決定的になった事実が一つ。
境智晴。
こいつは、佐倉茜に恋してる。
もう、今、この瞬間。
佐倉さんを見る目が、
そのことを物語っている。
優しい目。
愛のこもった目。
だけれど、哀しい目。
あぁ、こいつは。
きっと、そうだ。
よし、このことは、
後から探り出そう。
じゃあ、まぁ映画を見るかな。
主導権はまだ、俺にある。
境、お前には悪いがな。
『…よし、じゃあ、見ようか!
この映画の見所は、やっぱ主演俳優かな。
掌で恋愛を転がすんだ。
面白いだろう?…………』