首筋、君の手が触れた。
目標は、君だよ。
春だった。
白い光が葉桜に透けて、
白い校舎が心なしか染まった。
一年はあっという間に過ぎ、
圧倒的な力で私達を育てる。
必ず私達は成長するべきで、
そこには<ゆとり>なんて物は、
皆無であるのだった。
そこに、個人差は認められない。
濃紺のブレザーが、
ぽつぽつと見え始めたら、
そろそろ始業時間だ。
学ランの生徒も見える。
学ランはブレザーよりも、
(大体のところはだが)
いささか登校が早い。
それはブレザーの中身が、
学ランより少し複雑な用意が、
登校の際に必要だからか。
そろそろ本当に始まる。
授業は遅刻厳禁の学校である。
その前に物語はどこで始まるか。
それは始まればわかるけれど、
場所は『2年3組』
いわゆる特進クラスである。
実態は甚だ、
わかるとは思う。