首筋、君の手が触れた。
二人は、怯まなかった。
彼の、歯に衣着せぬ物言いに、
彼女の、鋭い激情の声に。
しばらく、沈黙が流れた。
口を開いたのは、茜だった。
彼女の声は、
水がほとばしるような、
冷たく激しいものだった。
『何で…境君関係無いでしょ?
わざわざ陰口を教えるために、
教室に戻ってきたわけ…?』
智晴の声は落ち着いていた。
『違うけど。』
『なら、なんなの?
私にそれを伝えて、
何を期待するの?』