首筋、君の手が触れた。
この季節によく見掛けるのは、
と、聞かれれば、
いくらでも思いつくだろうが。
今は、その風物詩の中の、
ある一つの場面である。
濃紺のブレザーは、
少し肩が崩れていて、
それが新品でない事がわかる。
さすがに進学校だけあって、
度が過ぎた着くずしをする、
そんな生徒は見受けられない。
黒の学ランも同様である。
高校生だから、落ち着きがある、
……なんてことはない。
それどころか、
かなりの興奮状態である様子。
黒板程の青い掲示板に、
無造作に並べられた、
無数の人間の名前の羅列。
正確に言うと、
羅列が印刷された模造紙だ。
餌をまかれた鳩のように、
生徒達はそれに群がる。
それはいわゆる、
クラス編成表だ。