首筋、君の手が触れた。
『なんだ。あんた、てっきり、
勉強にしか興味無い奴だと
思ってたのに。
意外と、お人好しなんだ!』
茜はすっかり気が抜けていた。
普段、こんな話し方はしない。
茜は容易に、他人に
対する自分の感情や、
感じたことを言わない。
これは珍しいことだった。
茜は無意識に、
智晴に対して警戒を解いていた。
智晴は、少し苦笑して、
『別に…俺は、勉強に興味が
あるわけじゃないよ。
それくらいしか、無いんだよ、
取り柄ってのが。
お人好し…は、当たってる。
しかも、損するタイプさ。
今だって、そうだろ?
佐倉が部活で孤立寸前なのを、
助けようとした結果、
怒鳴られちゃった。』
と、言った。