首筋、君の手が触れた。
茜は目を丸くした。
『だって、境君が、
あんまりズバズバ言うから、
イラっとしたんだもん。
…でも、損はしてないよ。』
『なんで?』
すると、茜は微笑んだ。
『だって、あんたは、
ライバルだった私に、
正々堂々勝負が挑めるからね。
あんたのおかげで、
なんか吹っ切れた!
私は万全の状態になったから、
気兼ねなく境君は、私を
負かしてくれていいよ。
…あと、友達が増えたしね。』
茜が一気にこう言うと、
しばらく智晴は呆気にとられ、
そして今度は、
にっこりと茜に笑いかけた。
中学2年の初夏の出来事。