首筋、君の手が触れた。
茜は悩んでいた。
原因は、境智晴その人。
実は、茜と智晴は、
高校に入学してから、
一回も言葉を交わしていない。
なぜだか、茜は話し掛けられなかった。
あぁ、なんで?
あの頃みたいに、仲良くしたい。
ただそれだけなのに、
なんでこんなに難しいの?
茜はこんなふうに考えていた、
数学の授業中。
上の空の彼女を見咎めたのか、
『佐倉さん、この問題を、
板書しなさい!』
いきなり発展問題を、
当てられてしまった…