首筋、君の手が触れた。


『ごめん、これ配るの代わって。』


茜はそういって、配りかけの紙を、


半ば強引にクラスメイトに押しつけた。




ガラリとドアを開けると、

そこには、

『…ちょっと、何してるの?』

智晴がいて、

必死に何かを拾っている。

『ちょっと、智晴?!』



やっと茜に気がついたのか、

智晴は少し青ざめた顔で振り向いた。


『さっき、風で紙が吹き飛ばされた…』




だから智晴は拾っていたのだ。


しかし…………




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