首筋、君の手が触れた。



しかし、なかなか難しい。

風は吹くわ木に引っ掛かるわで、

時間ばかりが過ぎた。

あぁ、もう諦めて、

先生に謝ろう。

そう思って顔を上げると、



茜がいた。



いつの間にか、

茜は配布物を拾い集めていた。


『…!なんで…?』

智晴が呟くと、

茜は顔を上げて、

少し智晴に微笑みかけながら、

中庭をすたすた横切って来た。




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