首筋、君の手が触れた。



教室に戻ってから、

智晴が配布している間中、

茜はそれをチラチラ見ていた。


なんで無視されたのだろう?

そう考えだすと止まらない。

茜はなぜか泣きたくなった。

泣きたい…

そう思った瞬間、自分に驚いた。

私、何でこんなに落ち込んでるの?


たったこれだけのことなのに…





茜は、自分でも、

よくわからない感情に、

戸惑っていた。















そして、SHRが終わり、

教室はあっという間に、

人がほとんどいなくなった。

茜は図書委員のために、

ひとり残っていた。

カバンを用意して、

さぁ、図書室に行こう、と、

顔を上げたら、

智晴が残っていることに気づいた。





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