首筋、君の手が触れた。


斜め下をみる、茜の伏せた目。

睫毛が長く、頬に影を落とした。

『…そんなことは、無いな。』

笹島は言った。

なんで俺、励ましてるんだ?

なんでこんなに、切ないんだ?


茜は目を伏せたままだった。

『境は、佐倉さんを嫌う理由が無い。

そんな非論理的な奴じゃない。

なんなら、俺が協力するよ…』

『やめて。』

茜が強く言った。

また射ぬくような視線で笹島を見た。


『いいから、しないで。』

『恋と違うと思うから。』

『…うん。わかった。』



笹島は、

茜が恋じゃないと否定して、

なぜかほっとしたのだった。







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