首筋、君の手が触れた。
夢の中の真実。
それは古文の授業で。
童顔で大分、実年齢より若く見える、
国語教師。
その日の授業は、こんな感じだった。
『…というわけです。
みんなわかったと思うけど、
一応聞いておこうか。
福本さん、この一文から、
この作品の時代の人が、
夢についてどう考えていたか、
簡潔に言ってくれる?』
福本美優は、突然の指名にも動じず、
すらすらと答えた。
『夢の中に出てきた人物は、
自分のことを想っている、
と考えていた。』
『そうね、その通り!
今は、そんなこと無いわよね?
佐倉さん。』
佐倉茜はいきなりの指名に、
びっくりしながら言った。
『はぁ…今は、
夢に出てきた人物を、
自分は心の底では想っている、
ていうのは、聞いたことあります。』
『その通り!今と昔は全く逆。
でも、先生、昔の方がいいな。
ロマンチックで。』
ほう、とため息をつく先生を見て、
2年3組特進クラスのメンバーは、
そんなん知るか、とばかりに、
黙々とノートをとっていた。