首筋、君の手が触れた。
そこには、笹島しかいなかった。
やけに蒸し暑い、雨の日。
『…やぁ、境じゃないか。
お前も自習か?』
『あぁ、まぁな。
今日はやけに少ないな?』
学校中が、シーンとして、
雨の音が少しうるさかった。
『まぁ、こんな天気ならな。
………………来ないかな。』
『誰が?』
『いや、何でも。』
笹島は迷うように口籠もった。
智晴は特に気にせず、
『…そうか?ならいいけど。』
と言って、日本史のノートを広げた。