首筋、君の手が触れた。
『…ああ、いいよ。
わかったけどさ…
なんで俺の好きな人とかを、
聞く必要があったんだ?…』
智晴はすらすらと話した。
動揺をひた隠して。
笹島は言った。
『だって、佐倉さんと境、
なんかぎこちないからさ。
もしかしたら、どちらかが…
と、思ってさ。
まぁ、少なくともお前は、
違うみたいだからな。』
『少なくとも、って、
どういうことなんだよ?』
智晴は、笹島の言葉に、
ひっかかる物を感じ取った。
笹島は、しまった、という顔をして、
観念したように、こう言った。
『…うん。
実は、佐倉さんと、
お前の話をしたんだ。
ほら、お前が休んだ時だよ。
それで、何か佐倉さんと境って、
ぎこちないよな?って聞いたら、
佐倉、<智晴は私を嫌ってる>
<私は好きなんだけどな>
<前みたいに話したい>
って寂しそうに言うんだ。
だから、
境のこと、異性として、
好きなのか?って聞いたら、
<どうだろうね>みたいな感じで、
誤魔化されたんだ…』
智晴は、言葉が出なかった。