首筋、君の手が触れた。
嘘だろ?
嘘だろ?
『でも、お前は違うみたいだし、
ひと安心だよ!
俺、結構本気になってきた。
これからいろいろ、
世話になるかも知れないけど、
よろしくな、境!』
『………あぁ……………』
嘘だろ?
何でなんだよ?
嫌われてなかった。
それどころか、
佐倉が勘違いを…?
なんで、早く気づかなかった?
佐倉が、俺を?
佐倉は、簡単に、
<好き>と言わない。
それは親しい人間しか知らない。
だから、笹島には、
適当に誤魔化せばいいと、
思ったのか、佐倉?
でも、知ってしまった。
佐倉、君は気づいていないかも知れない。
だけれど、俺は、
君を誰よりも見てきたんだ。
君が他の人間を好きな時、
君は初めて<好き>を言うんだ。
君は<好き>を使いたがらない。
俺と同じなんだよ。