首筋、君の手が触れた。


案の定、笹島は眉根をよせた。

対して佐倉は笑顔だ。

『…あぁ、いいよ。

意外だな、

境がラブストーリーを好きだったなんてな。』


これは、嫌味だな。

智晴は思った。

そりゃ、そうだよ。

協力するって言ったのに、

二人きりになるのを阻止するんだから。

でも違うんだ。

俺は佐倉が、


智晴は、心を決めていた。




『じゃあ、今日放課後、

チャリ置きで。』

『ありがとう、笹島くん!

すごい楽しみだな。』

『俺もすごい楽しみだな。』



茜は気づいていなかった。

茜の頭上で、

二人の男が睨み合って、

火花を散らしていることに。





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