short short short!
メルヒェン論法
 正方形にかためたあまいあまい泥へやわらかな熱を与えて噛み砕く。それはとても優しい愛撫に似ていると、どろどろに溶けそうな脳髄で僕は、思う。ああ、血管が開いていく。あたまがいたい。目玉が潰れてしまいそうだ。しかしそれでも、僕がただ願うのは、世界中の人がこの泥のかたまりで優しくなれるのなら、みにくい屍骸を晒す窒息死さえも甘受するであろう、ということ。

(なにをしても生きてる実感はない。僕はゆがんでる。しんだっていいとさえ思ってる。誰も知らない。こんな僕を。みんなだまされてる。愚かだ。どうしようもないほど。でももっと愚かなのはそんなみんなを哂ってる僕。たった独りの僕。すくわれない金魚の様。呼吸も儘ならず涙におぼれる)

( メルヘンでころしてほしかった )
< 16 / 16 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop