気持ち

長い時間、課長の腕の中にいた。










課長が腕の力を抜いて、体を離した。










私が目を開けると、課長の照れたような顔があった。









「…桜井。俺はお前が好きだ。」










改めて言われた。










「知ってます。」










私が微笑みながら答えると、










「お前の気持ちをまだ聞いていない。」










今度は真面目な顔で聞かれた。










「ん〜、どうなんでしょう?今までは上司として尊敬してたし、好きでした。」









「なんだよ、それ。答えになってないぞ。」










笑いながら課長が言う。










「今まではって言うことは…今は?」










「たぶん、男の人として好きです。」










「たぶんって、なんだよ!たぶんって!」










今の私には「たぶん」としか、答えられない。










だって、この2日間で起こったことに、気持ちがついていけてないのだから。
< 21 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop