「まぁ、いいよ。好きじゃないって言われるより、ましだよな!」










「嫌いなら、とっくの昔に課長を残して帰ってます!」










子供のように舌を出しながら言うと、










「これから時間をかけて、確実に俺に向かせてやるよ。」










真剣な眼差しで私に言った。










「とりあえず、俺たちのスタート地点は今日だな。」









机に腰かけて、腕を組んだ課長が呟いた。










そんな課長を見ていると、自然と笑みがこぼれた。










なんて、穏やかな人なんだろう。










ただ、そこに立っているだけなのに、空気が柔らかい。










言っている事なんて、そこらへんにいる男の人と、なんら変わりがないのに。










この人の持つ空気が好きだ。










みんなが感じているだろう、他の人にはない空気。










何もかもを包み込むような空気。










本人は全く気付いていないだろうな。
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