途切れない愛の物語
序章
あいつらとあたしが出会ったのは、去年の秋。何月かは覚えていない。記憶がなくなっていることは知っていた。
共通点はおそろいのピアスだった。偶然同じ店で買った、クロス型のピアス。あたしはあれがハジマリだなんて思いもしなかった。わかってたら買わなかったし逃げてた。捨てた。
「――痛…」
頭がちくんと痛む。これが記憶喪失なんだろうか。…違う。あいつらのことは覚えてる。何か忘れてる。
過去を振り返ったら、思い出せるのだろうか。あたしは近くに置いていた日記を取り出した。
「九月三日*担当者亜希*今日から旅のハジマリ!」
「九月十日*担当者颯太*かくんだりぃー」