途切れない愛の物語
序章




あいつらとあたしが出会ったのは、去年の秋。何月かは覚えていない。記憶がなくなっていることは知っていた。 

共通点はおそろいのピアスだった。偶然同じ店で買った、クロス型のピアス。あたしはあれがハジマリだなんて思いもしなかった。わかってたら買わなかったし逃げてた。捨てた。 

「――痛…」

頭がちくんと痛む。これが記憶喪失なんだろうか。…違う。あいつらのことは覚えてる。何か忘れてる。 
過去を振り返ったら、思い出せるのだろうか。あたしは近くに置いていた日記を取り出した。 


「九月三日*担当者亜希*今日から旅のハジマリ!」

「九月十日*担当者颯太*かくんだりぃー」




< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop