先輩と私の集大成
昼休みに屋上にきて、居眠りして、そして寝過ごしてしまう。昨日のを入れて三回目。わたしはテコンドー同好会に入っていて、毎週火曜日以外は部活がない。だから寝過ごしても大丈夫だけど、いい加減授業の単位の心配をしなくてはいけない。



「春子!昨日も放課後まで寝過ごしたの?」


「あ…うん。」



わたしの親友の明日香が駆け寄ってきた。明日香はかわいくて、真面目な子。だから昼休みに一緒にお弁当を食べていても、私が起きなかったらほっといて授業に行ってしまう。まあわたしがそうしてくれって言ったんだけど。



「わたしがお弁当箱で叩いても起きなかったかよ」


「まじかぁ…」



わたしはどれだけ寝たいんだ。でもそのお陰で、昨日いいことがあった!



「春子、なんかにやけてる」


「うっそん!ふへへ」


「うわ、気持ち悪!なにかあったの?」


「(気持ち悪って…)うん…まあね」



明日香に昨日屋上で出会った橙色の先輩のことを話した。いまでも思い浮かぶ。あのきれいな橙色。そういえば、シルバーのピアスもつけてた。問題児かな?たしかに軽そうな口調だった。



「橙色の髪…って、もしかして…古川橙也?」


「ふるかわとうや?」


「うちの学校一の問題児だよ。甘いマスクで女子を誘惑する。授業はさぼる。先生をも口説く。酷いときは女子を妊娠させたとか。問題児なのに何故か頭はいいらしいよ。
春子、こんな有名な人知らなかったの?」


「ふへへ、うん」


「まあ、春子はブルース・リー命だもんね」



そう、わたしはブルース・リーが大好き。だから格闘技に憧れて、テコンドー同好会に入った。お陰様で強くなったけど、それと比例して女の子らしさがなくなってきた。ブルースリーが大好きで、今まで男子に興味はなかった。だから先輩は、わたしがはじめて興味を持った人。





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