恋に落ちた☆アイドル
「あの…」
恐る恐る言ってみた。
「なにか?」
うっ…負けそう…。
「あの…受験の事は、ちょっと、置いておいて…その……
他になにか……
積もる話しでも……」
「あなたは黙ってて。それより、もうお帰りください。」
そうアッサリ帰れの御命令。
「えっ?けど……」
このまま上原を置いて帰れないって……。
って、思ってたら
「なんじゃい。さっきから騒がしいと思ったら……
蘭子、帰っておったんかい」
おっ!婆ちゃん登場だ☆
じゃあ、『蘭子』ってこのオッカナイおばさんの名前なんだ。
ヘェ~なんか意外
って思った瞬間
ピカッて眼鏡が一瞬光った☆
もしかして、この人も婆ちゃんと同類?
「リョウちゃん、すまんがきょうは帰ってもらってえぇ~かの?
凜の事は気にするな。
ワシが付いておるからの」
「お母さん!?」
「おぉ~コワコワ。
ほれ、ササッと帰った帰った。」
「えっ!?けど!?」
「いいから」と言うと婆ちゃん
オレの耳たぶグイッて引っ張って
小声で「今は帰った方がエェェ…心配だったらあしたまた来なさい。えぇな?」
って囁かれ
上原からも
「大丈夫。あたしは、大丈夫だから……
坂口君。きょうは、帰って。ごめんね」
と申し訳なさそうに言うから
仕方なく
渋々帰る事にしたオレだけど……
「本当に、大丈夫?」
玄関の外まで見送りに来てくれた凜に後ろ髪、引かれる想いで聞いた。