桜のなく頃
二人は手を繋ぎ、桜の花びらの中を歩いている。

それから数回、ピンク色の花びらに包まれた二人を見た。


そして、最後に見た二人の姿。

二人は少し寂しそうにしていた。


少女は今日、引越してしまうらしい。

寂しくなるから、悲しくなるから、想いが強すぎて少女は少年にそのことを伝えられなかった。

私は見ていないけど、どうやら二人はこの日、唇を重ねたらしい。

その時、少女が頬をピンク色に染めたのかと思うと、少し、微笑ましかった。

そして、その倍だけ悲しかった。

その後、少女は二度と少年に会えないのだから。

< 16 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop