桜のなく頃
訪れたのは彼女と初めて会ったらしい河原。

川沿いのサイクリングロードに等間隔に植えられた桜並木が続いている。

それなりに桜の名所として知られている。

彼女は上機嫌にピンク色の花の天井を仰いでいた。

久し振りなんだから懐かしさもあるんだろう。

昔よりハシャイでいるように見えた。

「綺麗ねぇ。」

彼女は自分と同じ名を持つ花を愛しむように眺める。

その姿に俺は小さな違和感を覚えたけど、彼女が横にいる今が幸せで、気にしない事にした。


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