桜のなく頃
夢を見た。

夢の中で俺はサクラと二人で河原にいた。

そこにいる俺は今の俺。

でもサクラは今のサクラではない。

出会ったばかりの小さなサクラだったような気もするし、引越してしまう直前のサクラだった気もする。


サクラは悲しげにピンク色の天を見上げる。

そして涙を浮かべる。

「さようなら」

サクラはそれだけ言った

つい先日、再会したばかりのサクラは別れを述べる。
「どこに行ってしまうんだ?」

「どこにも行かないよ。

わたしはここにいる。

ここに…」


そう言って悲しげに笑った。


そしてサクラは消えた。

辺りにはサクラがこぼしたピンク色の涙が舞っていた。
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