桜のなく頃
それから数日が過ぎた。
満開を迎えたその花はにわかに散り始め、足元にピンク色の絨毯を作り出しサクラはその上で静かに俺を見つめている。
「いつ気が付いたの?」
彼女は俺の口から発っされた問いにいつもと変わらぬ笑みで問いを重ねてきた。
まるで日常会話で天気を訊かれた時の様に、飾り気も緊張もない笑顔。
俺は少し驚いていた。
俺の意を決した一言にサラリと彼女は返した。
それは俺の問いの内容を彼女が認めたんだと思った。
数秒前に俺は言った。
彼女を見据え、長い付き合いになる彼女に向かい。
幼なじみに、恋をしていた相手に問うにはまずあり得ない質問を俺は彼女に伝えた。
「君は誰だ?」
と。