桜のなく頃
違和感は最初から感じていた。

最初に再開した時の反応も普通に考えればおかしいものだった。

それに君は言った。

笑顔で桜が「綺麗だ」と…。

俺の知っているサクラはそんなこと決して笑顔で言ったりしなかった。

サクラは自分と同じ名前を持つこの花が嫌いだった。
どんなに美しくても、

どんなに人を魅了しようとも、

その姿はほんの僅かな時間しか存在しないから。


彼女は言っていた。

「美しくなんてなくていい、だからずっと誰かの側にいたい。」と。

だから

だから、君はサクラじゃない。

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