恋をした私。
「部活は?」
第一声がそれかよ。
と思いつつ、話をそらす。
「おはようございます。」
「えっあ~…おはよう。」
「今日は部活が午後からなので、観に来たんですけど。つか、こっち来ちゃ駄目やん!」
「なんで?」
野球部員は一歩も引かないでこっちを見ている。
「ん~…はい。プレゼントフォーユー。」
「えっ?!ありがとう!」
嬉しそうにミサンガを付けようとするが、上手く結べてないぞこのやろう(笑)
「貸して。」
代わりに結んであげた。
彼の手はゴツゴツしていて、絆創膏を貼っている。
「…怪我したん?」
「あっうん。ちょっとな。大丈夫やけど」
私は彼の左手の上に手を重ねた。
「頑張ってな…観てるから…」
「俺だけ見とけよ。」
「キャッチャー見て何がおもろいねん」
「酷。なあ、キスしてや。」
「殺すよ?」
「ほな犯すで?」
彼の意外な言葉に、私はつい顔を赤らめた。
「いやらしい子。」
「どっちが…!」
すると幸宏は左を見る。
野球部が球場の中の部屋に入って行くのが見えた。
チャンス!
一瞬そう思った。人気がない球場。まだ試合まで時間がある。
心の中は幸宏にキスする事でいっぱいだった。