【短編】しろ犬のしっぽ
~幾多の時間(トキ)を経て~
「あのー…
今は、西暦何年ですか?」
「1947年です………?」
「へ?…」
カレンダーと同じ西暦である。
「希毬さん、真面目に言ってます?」
「真面目に言ってますけど」
私は、頭の中で混乱した。
意味がわからない。
そんな私を
希毬は不思議そうに見ている。
「一体、どうなさったのです?」
「あのー」
「はい」
「昭和でいうと?」
「22年ですよ?」
「何で?…」
私は、思わず噴き出した。
それを見て、
希毬は、
びっくりした表情になっている。
「悠さん?」
「そんな馬鹿なっ、
だって、僕は、昭和23年生まれですもん!」
頭の中で混乱して、
自分のことも【私】などと丁寧に言う余裕もなくなり。
希毬は、
心配げに私の様子を見ている。
「昭和23年は、
まだ来ていません。来年です」
「来年…って…
…だって…」
私は、言葉が続かなくなり、心の中で呟く。
… 僕、生まれてるっつぅの ー…
そして、
私は、黙りこくってしまった。
そんな私に心配したのか、気を使った様に、
希毬が、
そっと笑い出した。
「まぁまぁ
何だかよくわかりませんけど、しろ犬のしっぽですねぇ」
そう言って、
ふふふ、と笑った。
私は、
そんな希毬を見つめて尋ねる。
「しろ犬のしっぽ?」
「はい」
私は、意味がわからず首を傾げる。
希毬は、
もう一度繰り返す。
「しろ犬のしっぽ」
私は、
希毬が言ったとおりに繰り返してみる。
「しろ犬のしっぽ」
「そう」
「…?…」
「わかりません?」
「ん?なんです?」
「“尾も白い”ですよ」
「尾も白い、…えぇ…?」
「そう!尾も白いっ」
「尾も白い、…あぁっ
面白いっですか!」
「はい」
希毬は、
にっこり微笑んで
小さく頷いた。
今は、西暦何年ですか?」
「1947年です………?」
「へ?…」
カレンダーと同じ西暦である。
「希毬さん、真面目に言ってます?」
「真面目に言ってますけど」
私は、頭の中で混乱した。
意味がわからない。
そんな私を
希毬は不思議そうに見ている。
「一体、どうなさったのです?」
「あのー」
「はい」
「昭和でいうと?」
「22年ですよ?」
「何で?…」
私は、思わず噴き出した。
それを見て、
希毬は、
びっくりした表情になっている。
「悠さん?」
「そんな馬鹿なっ、
だって、僕は、昭和23年生まれですもん!」
頭の中で混乱して、
自分のことも【私】などと丁寧に言う余裕もなくなり。
希毬は、
心配げに私の様子を見ている。
「昭和23年は、
まだ来ていません。来年です」
「来年…って…
…だって…」
私は、言葉が続かなくなり、心の中で呟く。
… 僕、生まれてるっつぅの ー…
そして、
私は、黙りこくってしまった。
そんな私に心配したのか、気を使った様に、
希毬が、
そっと笑い出した。
「まぁまぁ
何だかよくわかりませんけど、しろ犬のしっぽですねぇ」
そう言って、
ふふふ、と笑った。
私は、
そんな希毬を見つめて尋ねる。
「しろ犬のしっぽ?」
「はい」
私は、意味がわからず首を傾げる。
希毬は、
もう一度繰り返す。
「しろ犬のしっぽ」
私は、
希毬が言ったとおりに繰り返してみる。
「しろ犬のしっぽ」
「そう」
「…?…」
「わかりません?」
「ん?なんです?」
「“尾も白い”ですよ」
「尾も白い、…えぇ…?」
「そう!尾も白いっ」
「尾も白い、…あぁっ
面白いっですか!」
「はい」
希毬は、
にっこり微笑んで
小さく頷いた。