【短編】しろ犬のしっぽ ~幾多の時間(トキ)を経て~
「なら、悠さんは、
未来から来たのですねぇ」

「えぇ?
信じてないくせにぃ」

「信じてますよ~?
ほら、だから服装も全然違う」

「………」

「悠さん、今おいくつ?」

「…二十歳になりました」

「まぁ!私と一緒!」

「そうなんですか」


「えぇ。あっでも、
悠さんは、未来で二十歳なのですね。西暦何年ですか?」

「え?」

「悠さんの生きている二十歳の西暦」

「あぁ…、
…1968年です」

どうせ信じてないだろうにと思いながらの返答に違和感を覚える。


「へぇ~…
1968年かぁ…
私、生きているかなぁ。41歳かぁ、生きている生きているっ」

希毬は、
私の心境をよそに、
ひとり納得して頷いていた。


「どんな時代ですか?」

「え?」

「1968年の日本って」

「えっ、…あぁ…」


信じてないだろうにと思っているのに、
尋ねる希毬の瞳が、
吸い込まれそうなくらいに余りに綺麗で、
聞きたいという期待いっぱいの様な輝きなので、
私は、素直に話を始めた。

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