【短編】しろ犬のしっぽ ~幾多の時間(トキ)を経て~
「高度経済成長期…
戦後の二十年の間に、日本は、随分変わりましたよ」

「そうなんですか」

「はい。
皆、集団就職や出稼ぎ。
道は舗装され、車が行き交い、電車も通り、
あっ!新幹線ができました」

「新幹線?」

「はい。
時速何百キロで走る、
とても速い乗り物です。
遠くの場所まで短い時間で行くことができます」

「へぇー」

「因みに、時計も電池で動きますし、目覚まし時計とか、便利なものも増えたし。
テレビもあります。
カラーです」

「テレビ?…カラー?」

「はい。
色つきの映像を見て楽しむ」

「はァー」

「街にはビルやタワーが建ち、それから、映画館も。
あっ、映画館というのはね、………」


尽きない私の話に、
希毬は、微笑んだり、驚いたり、感心したりと、
表情をコロコロと変えながら、とても目を輝かせて聞いていた。

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