【短編】しろ犬のしっぽ ~幾多の時間(トキ)を経て~
「そうですか」


希毬は、
静かに言った。

そして、
空を見上げた。


「なら…

…宗一郎さんの使命は、
無駄ではなかったのですね……

…宗一郎さんだけじゃない。他の兵隊さんたちも…」


そう言って、
希毬は、うつむいた。

そして、
遥か彼方を見る様な視線になった。


初めて見た、
希毬の
もの哀しい横顔。


ずっと笑顔だった希毬の
本当の心境を
垣間見た様な気がした………



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