君が生きて 俺は死んだ
奴のいた手前、見栄を切って買った2箱目の煙草のストック。
別れてから財布の重みに後悔が募る。
小言を言われる分には慣れた。
もっとも、それは開き直りに過ぎないのかもしれないが……
──カチャッ
部屋は今朝出た時のままだった。
散らかった机の上を片付けて、風呂に湯を張るのが俺の仕事なのだと、言い聞かせるように動く。
こんな生活でも充実感はあった。
何か具体的な基盤もなく動いていた頃は、ブレる軸もなかった。
生きることに意味すら感じなかった。
それはそれで幸せだったのかもしれない。
生きる意味や形が明確になると、それに囚われるように芯が折れていくのが分かる。
それを失った時、どうなるのか……
「たっだいまー!」
……今は考えたくもない。