君が生きて 俺は死んだ
俺達は決して性格的に相性の良い者同士ではなかった。
こんな風に一緒にいることが当たり前になるまでは、どちかと言えば……
……いがみあっていた……
と言っても、ユチが一方的に俺を敵視していただけだが
「3作目で終わったとか言われてるけど、俺は4作目も好きだったよ」
「あの糞のどこが良かったワケ?」
「糞とか言うな」
「ごめん」
「女の子が糞とか汚い言葉」
「そこかよ」
俺達は音楽の趣味が似ていた。
ジャンルで言えば俺はハードロックやグランジを好み、ユチは格好からしてガチガチのメタル少女。
仲良くなってからは互いの得意分野にも手を出すようになり、素直に認め合える仲でもあった。
「ほら、これ付けて」
「試聴とか好きじゃないんだよねー。前にヘッドフォンしてた奴がフケ症だったりしたらさ、私って潔癖だし」
「つべこべ言わんと」
「はいよ……」
正直、俺はユチに好きなバンドをけなされたのが気に食わなかった。
ユチが"もう終わった"と名指ししたそれに感動を覚えた俺を、生きてきた証とも呼べる音楽性を否定されたようで……
悔しかった。