パリ・ローマ幻想紀行
「あと何時間でパリに到着ですか?」
「あと一時間半です」
「もうすぐですね」
「空の旅はいかがですか?」
「いや!快適ですね」
「それではよいご旅行を!」
この会話を録音しながらの撮影は、最初のカットシーンとしてまずまずだ。これからは、私のビデオカメラマンとしての腕の見せどころである。私の座席は主翼の後側であった。この主翼を画面の左上に映しながら、雲海を画面の八割程度に収め、ジエットエンジンの音を頭に入れて、空の旅の雰囲気をワンカットとして入れた。後はパリの上空で下界を撮ることに決めた。私としては、そのチャンスを逃すわけには行かない。後の一時間半は、小さな窓から下界の方に視線を落としていた。孤独な世界だ。やがて雲の切れ間から陸地が見え出した。高度を下げている証拠だ。シートベルト着用の指示があった。伊沙子さん!シートベルトと言って揺り動かした。
「いよいよパリの上空だな!」
「ちゃんと撮ってよ!」と言いながら、伊沙子さんは、窓際に体を乗り出す。
「ハイハイ。あれがセーヌ川か!」
「あと一時間半です」
「もうすぐですね」
「空の旅はいかがですか?」
「いや!快適ですね」
「それではよいご旅行を!」
この会話を録音しながらの撮影は、最初のカットシーンとしてまずまずだ。これからは、私のビデオカメラマンとしての腕の見せどころである。私の座席は主翼の後側であった。この主翼を画面の左上に映しながら、雲海を画面の八割程度に収め、ジエットエンジンの音を頭に入れて、空の旅の雰囲気をワンカットとして入れた。後はパリの上空で下界を撮ることに決めた。私としては、そのチャンスを逃すわけには行かない。後の一時間半は、小さな窓から下界の方に視線を落としていた。孤独な世界だ。やがて雲の切れ間から陸地が見え出した。高度を下げている証拠だ。シートベルト着用の指示があった。伊沙子さん!シートベルトと言って揺り動かした。
「いよいよパリの上空だな!」
「ちゃんと撮ってよ!」と言いながら、伊沙子さんは、窓際に体を乗り出す。
「ハイハイ。あれがセーヌ川か!」