叶わぬ恋


握った手を離さないまま、僕らは砂浜に腰を下ろし、

しばらく波をただ見つめていた。



あのときのようにはしゃぎ回ることはなかった。




いつの間にか

彼女は僕の肩に頭を預けて眠ってしまっていた。



ずっと・・・こうしていたい。





どのくらいのときを

僕らはそうしていたのか・・・



気がついて・・



「ことちゃん・・・。」


寄り掛かる彼女をそっと呼んだ。


返事がなかった。




「ことちゃん?」




もう一度呼んで・・・




そのとき



その静かな沈黙に・・




僕は、少し慌てた。







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