叶わぬ恋
「あなたは・・・。」
病室に入って来たのは・・・
「久しぶりとでも言うべきかな?」
彼女の元夫だった。
「どうしてここに・・離婚したはずじゃ・・・。」
僕は訳が分からずにそう呟いていた。
眠る彼女の方を見た。
「離婚はしたよ。
だけど、今は彼女の主治医だ。」
彼女からまた彼に視線を戻した。
主治医?
何も知らないってことがどれほど楽か・・・
知ってしまってどれほど・・・
苦しいか・・・
彼との再会は
あの時の・・・
指輪の秘密を知ったときの
身を引き裂かれるほどの痛みよりも
もっと僕に・・・
深刻な苦しみと・・・悲しみを与えた。