叶わぬ恋
毎日花を持って訪れる病室―――


会社帰りに病院へ寄った。



少しでも側にいてあげられるようにしよう。


そう思っていた。


少しでも側にいてあげるそれが今の僕にできること。







そして・・・




今日、また、彼女の元夫と廊下で会った。





彼女の主治医なんだからこの病院のどこで会ってもおかしくない。


でも、できれば会いたくなかった。





「やあ、毎日来てるんだって?」



「ええ、仕事帰りなんでこんな時間ですが・・・。」




今の僕にできることはこれだけ。




それが・・・精一杯だった。






頭を下げて病室に入って行こうとした。



「君にできることがそれだけなら・・・



もう、来ない方がいい。」




すれ違いざまに彼が言った。




「な、何の権利があって・・・。」





次の瞬間・・・




僕は廊下の壁に押さえつけられていた。



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