叶わぬ恋
彼女が待ち合わせ場所に指定して来たのは、

駅の交番前だった。



僕らが行く予定の遊園地はバスで1時間ほどのところで、

バスセンターのすぐ側には有名な待ち合わせスポットと言える人形があった。


だけど彼女は、

「ごめんね。私そこ分かんない。」



地元の人間で、しかも若者で知らない人が居ることに驚いた。



「じゃあ、他のに分かる場所ある?」

「う~ん・・・交番かな?」

「交番?」

「そう、一度一人で出かけて迷子になってそこでお世話になったの。」



いつの話なのか聞かなかったけど、彼女がとても同世代の女の子と同じように育ったとは思えなかった。





そもそも彼女のような超が付くお嬢様大学に行ってる人を僕は知らなかった。




そうゆう人達はこんな感じなのかな?

ぐらいの感覚で・・・。




彼女が普通の女の子と違うことは、僕にとっては大した問題でも無かった。





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