真夜中の太陽
真顔で何度も否定するあたしに、村岡くんはハッとして言う。
「あぁ、じゃあ、彼女だ!やっぱ似てるよなぁ、柚羽ちんに」
「そんなに似てる?」
「激似!だって、オレが『柚羽ちんー!』って手を振ったぐらいだぜ?」
「やだなぁ…」
「いやー、てっきり結崎さんが彼女と別れて柚羽ちんと付き合い始めたのかと思ったよー」
――……ねぇ、永輝。
あたしと、あたしに似ているという彼女。
あなたはあたしを通して彼女を見ているの?
だからあたしに、『永輝』と呼ばせるの?
あたしと永輝が付き合っているんじゃないかと聞いてきたのは、村岡くんだけじゃなかった。
その日以来、バイト仲間が二人ほどあたしに突っ込んできた。
それぞれ、違う日に、違う場所で、あたしと永輝を見たと。
しかも、時間帯はすべて、太陽が上っている時間帯。
決して、真夜中ではなかった。