真夜中の太陽
きっと少し前のあたしなら、こんな疑問を抱えたまま、永輝の前では作り笑いをしていたんだろうと思う。
でも、今のあたしは違っていた。
「……そっか、聞いたのか」
いろんな人が証言した彼女の存在。
永輝が部屋を訪れた夜、あたしは躊躇せずに、ストレートに聞いた。
永輝は驚くことも、隠すこともなく、冷静だった。
「村岡たちが見たのは、かんなっていう子だよ」
「……かんな?」
「あぁ。昔、オレが族の総長やってたことは知ってるよね?」
「……うん」
触れてはいけないと、ずっと思い続けていた話。
「オレの前に総長やってた先輩の妹なんだよ」
「そう。……でも、彼女、なんだよね」
「彼女じゃない」